整えられたばかりのシーツは、幾つもの波を描いていた。
そこに横たわる頼りなさげな輪郭に恐怖にも似た感情を抱きながら、初めて自分の頬を伝っていたのが汗ではなかった事に気付く。
小さな雨粒は音もなく降り注ぎ、真っ白な闇に染み込んでいった。
こんな風に声を殺して泣くのは、随分と久し振りな気がする。
……最後に泣いたのは何時だった?
それはとても遠い記憶のようで、思い出す事も憚られた。
子供でも大人でもない、あまりに中途半端な自分達は、無知にも狡猾にもなれず、出口のない迷路を彷徨い続けるしかないというのに。
「違う。答えはとうに……。」
少なくとも、自分だけは。
けれど彼は知らなくて、気付けなくて、理解(わか)らなくて。
無から有を生み出す事も出来ずに、それでも残酷な優しさを突き付けていただけ。
そのナイフの痛みに耐えられなかった弱い自分。
凶器を握っている事も知らない彼に、己の醜い狂気を押し付けた。
対等の立場まで引き摺り落とす為に。
それなのに、この瞬間も渦巻く虚無感は?
研ぎ澄まされた聴覚よりも更に深い場所で、今まで守ってきた何かが壊れていく音がした。
優 し い ナ イ フ ...
(許されるとわかっているからこそ、願う、なんて!)
...挿絵の描き方を教えてください。
怒鳴るシーン楽しみにしてます!PR