「もう、お前の役目は終わった。」
小さな死神が、表情を歪める事なく銃口の狙いを定めた。
生 き 死 に の 、
二 つ の 海 を ら う た し と
俺の半身は、強くなった。
彼らに必要とされる「沢田綱吉」となった。
だから、もう俺はいらない。
『俺』は……、ツナが「綱吉」と呼んでくれた『俺』という存在は、この時の為に生まれた。
最初から解り切っていた事なんだ……。
だから、頼む。
「なんで!?どうして綱吉が殺されなきゃいけないんだよ!?」
お前は気にしないでいいよ。
「綱吉は何も悪くないのに!!」
そう、俺もお前も、何も悪くないんだ。
これは掟。
お前という存在を生かす為の、避けられない運命だ。
……ああ、違う。
罪は、俺だ。
(俺は、お前という存在を愛してしまった。俺はただの“うつしみ”、魂も感情も、本来ならば持ち得ないものだった。それなのに、俺は。)
俺であって、俺とは違うお前を……誰よりも愛しているのだと。
最も近い場所にいながら、俺は一度たりとてお前に触れる事は出来なかった。
こんなに傍にいたのに、想いを告げる事は出来なかった。否、許されなかった。
お前は俺で、俺はお前で。
自己愛にも似たこの感情で、お前を抱き締める事など出来る筈がない。
何時かは消え去る存在の身で、愛を告げる事など……。
けれど、お前は叫ぶ。
「お願い…、俺を置いてかないで……!」
俺の消滅を受け入れられないと。
「綱吉……!!」
お前が与えてくれた、俺の名前を。
(泣くな、お前にはずっとずっと笑顔でいて欲しいんだ。)
歩む未来、お前の隣に俺がいなくても。
俺の大好きな、お前の笑顔を見せて欲しい。
「ツナ。」
幸せだった。
お前という存在によって、俺はこの世に生まれた。
そして、誰かを愛するというこころを得た。
お前と見た世界、お前と戦った記憶、お前が守りたいと願ったもの。
俺は、絶対に忘れないから。
「“綱吉”から“ツナ”への、最後の頼みだ。」
ごめんな。
きっとお前を傷付けてしまうだろうけれど。
それでも、お前には知っていてもらいたい。
俺の幸福を、存在理由を。
そして。
俺の、本当の想いを……。
...初めてのツナツナでした。
やはり、他のツナツナうp主様のように、切なさ満開にはならなかったですorz
もう自重すべきですね、私。
書いていて、ふと奪還屋の雷帝×銀次が過ぎったり。
タイトル、前半は万.葉.集のとある歌の最初から。
文法とか間違えていたらすみません。ちゃんと調べてから書け、という話です。PR