真っ白な包帯。
絆創膏。
微風に揺れるカーテン。
あなたの、白衣。
「妹子君ってさー、わざと怪我してない?」
俯いた途端にずれた眼鏡を戻して(そんなに頻繁にずれるなら直してもらえばいいものを)、レンズ越しの瞳はどこか険しさを増していた。
普段はどこまでも穏やかな色を携えているせいか、咎めるように細められたそれは新鮮でもあった。
「まさか」
すっかり馴染んだ血の匂い。
だからと言って自分は別にMでもなく、殴られたら痛いし、その感覚を好める筈もない。
けれど目の前で包帯を引っ張る彼からすれば、こうもひっきりなしに保健室に足を運ぶ自分に対して疑問も募っているのだろう。
怪我をしたら必ず此処に来る事、とあの頃はしつこいくらいに言っていたというのに……。
素直に来てみれば、この反応だ。
「まあ、怪我したの内緒にされるよりはいいけどね…」
その為の保健の先生だし、と続けて、消毒を済ませた腕に包帯を巻いていく。
誰もいない。
二人だけの、小さな世界。
(あなたを独り占めできるこの時間が欲しいから、なんて……言えませんけど)
...妹芭は…うん、あれだ。
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